ようこそ、『月灯りの休憩所』へ。管理人のDreamSoulです。
今夜は、物語回です。
ここから先は、そっと森に入るような気持ちで読んでいただけたらうれしいです。
普段の日常から抜け、静かな自然の中で癒しを得られますように。
🌙 眠りの森で会いましょう
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夜の森に入ると、私の足音が少し丸くなる。
土はしっとりと落ち着き、苔の匂いがやさしく近づいてくる。
昼のざわめきが、服のしわのようにほどけていく。
木々の間をすべる風は、急がない。
私もそれに合わせて歩幅を小さくする。
肩の奥に残っていた力が、ひと息ぶんだけ下がる。
遠くで水がひとしずく落ちる。
その音が聞こえるたび、世界が少し薄くなる。
重かった考えごとが、霧のように形を失っていく。
空には薄い雲がほどけ、月の光が静かな道をつくる。
明るすぎない光。
見えすぎない光。
私の目は、自然に夜のやさしさへ馴染んでいく。
歩いていると、木立の奥に小さな灯りが見えた。
揺れないのに温かい光。
近づくほど、胸の奥がゆるむ。
私はそこで立ち止まり、呼吸の数を静かに数える。
星が一つ、ゆっくり瞬く。
もう一つ、少し遅れて瞬く。
葉がかすかに鳴り、その間を埋める。
私はそのリズムに、意識の端を預けてみる。
眠りは、急に来ない。
けれど、確かに近づく。
暗さが少しずつ深くなり、
耳に残る音が、丸く小さくまとまっていく。
私はもう、今日を握りしめない。
手のひらをゆるめ、
名前のない静けさを受け取る。
この森は、そうする方法をいつも知っている。
星の瞬きが速くなるでも、強くなるでもなく、
ただ、ちょうどよい間で続いていく。
私のまぶたも同じ間で重くなる。
ここで眠れなくてもいい。
ただ、ここに来られたことだけで十分だと思う。
そう思った瞬間、
心の底に、あたたかな余白が広がる。
やがて私は、灯りのそばのやさしい暗さに溶けていく。
風も、水も、星も、
私の眠りの形をそっと整えてくれる。
眠りの森で会いましょう。
また次の夜も。
同じ静けさの、少し違う表情の中で。
🌙 あとがき
この物語は、眠るための方法を教えるものではありません。
ただ、急がなくていい夜があることを、思い出させてくれます。
眠りは、追いかけるものではなく、
手のひらをゆるめた先にそっと近づいてくるもの。
もし今夜、すぐに眠れなくても。
森の入り口に立てただけで、もう十分です。
また次の夜も。
同じ静けさの、少し違う表情の中で。
眠りの森で会いましょう。

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