ようこそ、『月灯りの休憩所』へ。管理人のDreamSoulです。
窓の外で雨が降っている夜は、世界が少しだけ遠くなる気がします。
音が角を失って、街の輪郭がやわらかくほどけていくような――そんな静けさ。
今夜は、雨の音と灯りの気配に耳を澄ませる、短い物語をお届けします。
読みながら、部屋の明かりをひとつだけ残してみたり、スマホを伏せて置いてみたり。
できる範囲で、夜の空気を“やさしく整える”時間になればうれしいです。
🌙 静かな雨と、灯りの音

窓の外では、細かな雨が夜の空気を包んでいる。
遠くの街灯がぼんやりと滲み、ガラスの向こうで光の粒がゆっくりと揺れている。
部屋の中は静かだった。机の上に置かれたランプが、淡く温かな光を放っている。その光は、まるで深呼吸をしているかのように、ゆったりと脈を打っていた。
時計の針が静かに進む。雨の音が、遠くから寄せては返す波のように響いている。
外の雨と、内の灯り。それらが重なり、心の奥に静かなリズムを作り出していく。
ゆっくりと息を吸い、同じくらいゆっくりと吐く。それだけで、部屋の空気が少しだけ柔らかくなっていった。
窓を伝う雨の筋は、まるで小さな旅人のように、光をまとって滑り落ちていく。その一滴一滴に、今日という日の欠片が溶けていくようだった。
ランプの光が、木の机に淡い影を落とす。その影は、まるで小さな丘のように波打ち、ふとした瞬間、眠気を誘う穏やかな揺らぎに変わっていった。
耳を澄ますと、雨の音の中にさまざまな音が隠れている。屋根を叩く音、葉の上で跳ねる音、遠くで水が流れるおと。それらがひとつに溶け合い、心の奥へとゆっくり沈んでいく。
ふと、風が通り抜け、カーテンがやわらかく揺れた。ランプの光がわずかに波打ち、壁に映る影が踊るように動く。
その瞬間、部屋全体が呼吸をしているように感じられた。雨と風と灯り。それぞれが自分のリズムを持ちながら、互いを邪魔せず、ただ静かに共にある。
やがて雨音は小さくなり、夜は深く沈んでいく。外の世界は、灰色の静けさに包まれ、部屋の中には、ランプのぬくもりだけが残る。
まぶたが自然と重くなる。灯りはまだ消えていないのに、光の輪郭が少しずつぼやけていく。
最後に聞こえるのは、雨が遠くで落ちる音。そして、灯りのかすかな唸り。
その音たちが、やさしく眠りへと導いていく。心の奥で、誰にも気づかれない小さな夢の扉が、そっと開いた
🌙 あとがき
雨の音って、不思議です。
同じ雨でも、屋根に当たる音、葉の上で跳ねる音、遠くの道を濡らす音――いくつもの層が重なって、ひとつの夜を作っていく。
そして部屋の灯りは、強く照らすためというより、
「ここに戻っておいで」と合図してくれる、小さな目印みたいなもの。
今夜もし、心が少し忙しかったなら、
雨の音の“遠さ”にまかせてみてください。
全部を落ち着かせようとしなくても、夜はゆっくり沈んでいきます。
この物語が、あなたの部屋のどこかに、
小さな静けさを置けていたらうれしいです。


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